「トラベリング」というルールをご存知でしょうか。
「3歩以上は歩いてはいけない」という初心者も知っているおなじみのルールですが、実は奥が深く、実戦ベースではなかなか理解が追いつかないこともあります。
そこで今回は、トラベリングの詳しいルールや初心者ではなかなか判定の難しいステップの見分け方を解説します。
トラベリングって?
バスケットボールの「トラベリング」とは、ボールを持って3歩以上歩く反則のこと。
この際、ボールの所有権は相手に移ります。
また、トラベリングは試合中に何度取られても退場などの罰則はありません。
ルールの内容だけ聞くと、シンプルで初心者でもすぐに理解ができ、正確なジャッジができそうに感じますが、実はベテランの審判でも非常に判定が難しいとされています。
足の出し方や止まり方でトラベリングに見えてしまうことがあり、正確なルールの把握と自分が今何歩進んだのかを感覚的に覚えることはとても大切です。
トラベリングのルールを難しくする「ピボット」とは?
次に解説するのは「ピボット」です。
ピボットとは、ボールを持った状態で片方の足を軸足とし、もう片方の足は自由に動かせるというものです。
ピボットはドリブルを止めてしまったときやドリブルをつく前など、上手くディフェンスをかわしたい場面でよく使われます。
しかし、このピボットが何歩歩いたかをややこしくさせる原因でもあるのです。
例えば、両足を地面につけたままボールをキャッチしたらその時点で1歩とカウントされます。
初心者からすると「まだ1歩も歩いてない」と思うかもしれませんが、1歩目がカウントされているので次に動かした足が2歩目となり残している足がピボットの軸足となるので軸足をそれ以上動かすとトラベリングになってしまいます。
このようにボールをキャッチした時点で歩数のカウントが始まっている場合もあるのでピボットを踏む際の足は要注意です。
トラベリングが起こりやすい状況
次にトラベリングが起こりやすい状況を3つご紹介します。
パスをもらってからの動き
パスを受けたとき「ボールを持った時点」で地面についている足が1歩目になるので、2歩目を踏んだら1歩目が地面が離れる前に「ドリブル」「パス」「シュート」のいずれかのアクションを行わないといけません。
ドリブルを止めてからの動き
ドリブルを止めるときの足も要注意です。
ドリブルを止める前、ドリブル中に踏み込んだ足は1歩目にカウントされます。
ドリブルを止めたときに地面につけた足は2歩目にカウントされ、1歩目の足が動いてしまうと3歩目となりトラベリングになります。
空中でパスをもらって両足で着地した場合
空中でキャッチして両足同時に着地をした場合、その時点で1歩目にカウントされますが、まだ軸足は決まっていません。
地面から足を離した方が2歩目にカウントされるので、着地してから動かしていない足が動いてしまうとトラベリングです。
ルール改定で「ゼロステップ」「ユーロステップ」がOKに
2018年4月にトラベリングの歩数に関するルールは一部改定しました。
ルール改定がされる時は、まずNBAがルール変更を、次にオリンピックなどの国際ルールが変更され、その後日本のルールが変わるという流れがほとんどです。
次の項目で紹介するゼロステップやユーロステップもNBAから始まったルールです。
ゼロステップ(ギャザーステップ)とは?
「ゼロステップ」とは、動きながらまたはドリブルを終えるときにボールをキャッチしたプレーヤーがストップしたりパスやシュートをするために2歩までステップしても良いというルールです。
ちなみに、地面についた状態でボールをコントロールした場合、地面についている足は0歩目とし、その後2歩までステップを踏むことができます。
動きながら足が床についた状態でキャッチした場合、「0、1、2」と数える。片足をピポットフットになる。
ゼロステップ適用外
ボールをキャッチしたのと同時に着地した場合は今まで通り「1、2」と数える
ユーロステップとは?
「ユーロステップ」とは、その名の通りヨーロッパのNBA選手の間で流行り広く使われるようになったディフェンスをふり切るためのステップです。
・1歩目は大きく踏み込む
・2歩目は逆方向に方向転換する
・シュートを打つ
ユーロステップは相手を揺さぶりタイミングをずらしてブロックさせないようにするためのステップです。
緩急をつけてその時の相手と駆け引きを行いながらステップを踏むことが1番のポイントです。
身長や体格差のある相手とのマッチアップに有効なのでぜひ取り入れてみてください。
まとめ
近年ルールの改定が頻繁に行われていますが、プレーヤーでいる限りルールに適応したプレーをすることは不可欠です。
なおゼロステップの多用はおすすめしません。
見え方によってはトラベリングと誤認されることもあり、かなり際どいテクニックです。
知っておき、いざという時に使える状態にしておくことが大切です。