序盤は良かったのに中盤ごろからペースダウン、終盤には体力が底を尽き始める……。
そんな方も少なくないのでは?
1500m走は距離も長いため、「体力勝負」「筋肉がある方が優勢」というイメージがありますが、実際はペース配分やフォームなど、技術的・テクニカルの部分で、タイムを速くすることができます。
この記事では、そんな1500m走の疲れない走り方を解説します。
1500m走とは?
陸上競技のトラック種目の一つです。
中距離種目として分類され、1500mを走るタイムを競います。
「陸上の格闘技」と称される800mと同様、世界で戦うためには非常に速いスピードが必要となります。
世界で見ると、アフリカ諸国が強豪で何度も優勝しています。
ちなみに、日本は1980年のモスクワオリンピック以後、出場を果たしていません。
参加に必要な最低記録が日本人最速記録を上回っているためです。
いかに1500m走で頂点を極めるのが難しいかが分かります。
1500m走の世界記録・日本記録
1500m走の世界記録と日本記録は以下の通りです。
屋外:3分26秒00(男子)、3分50秒07(女子)
屋内:3分31秒04(男子)、3分55秒17(女子)
屋外:3分37秒42(男子)、4分07秒86(女子)
屋内:3分42秒64(男子)、4分19秒61(女子)
日本人の平均タイムがおおよそ成人男性で6分24秒34、成人女性で8分47秒49(※)と言われているので、いかにとてつもないスピードで走っているかが分かります。
ちなみに、男子の世界記録はモロッコのヒシャム・エルゲルージ選手で、1998年以降今に至るまでまだ破られていない記録です。
1500m走のルール
1500m走のルールは以下のように定められています。
スタート
1500m走は「400mトラック×3周+300m」と半端な部分があるため、スタートラインはゴール地点から100mの場所に弧状になって設置されます。
「Set(セットor用意)」の合図でスタートし、フライングは各レース(各選手ではないため注意)で1度まで許されます。
フィニッシュ
選手の胴体がフィニッシュラインに到達(※)した瞬間をフィニッシュとしています。
※正式には5cm幅のフィニッシュラインの選手から見て手前側の端の垂直面に到達した瞬間とされる
判定方法は「手動計時」と「全自動計時」があり、日本選手権では記録の計測と順位判定の両方に全自動計時が用いられています。
1500m走の疲れない走り方
1kmを超える距離を走り続けるため、全く疲れないというのは難しいですが、不要なエネルギーを使わずに走る方法はあります。
ここでは疲れない走り方のポイントを5つご紹介します。
1. ペース配分を意識する
前半はまだ体力に余裕があるため、周囲に無理に合わせてしまいペースを乱しがちですが、一定のペースで走ることを意識すると心肺への負担もおさえられ、結果的に好タイムを出すことができます。
2. 胸を張る
呼吸がきつくなると、つい肩をすぼめてしまいますが、これは逆効果で酸素を上手く取り込めなくなります。
胸を張ることで、酸素をより多く取り込むことができ、フォームも安定します。
3. 腕を振る
実は、人間の腕と足の動きは連動しています。腕振りを意識して行うことで推進力が出ます。
腕をダラ~ンと脱力して振るのがコツです。
4. ウォーミングアップを入念に行う
自動車やバイクと同じで大きな力を出す前には、エンジン(体)を温めておくことが非常に重要です。
ストレッチを入念に行い筋肉を柔らかくしてから、軽く流すぐらいのペースで走ると効果的です。
5. 体重移動を意識して着地する
かかとから着地したらつま先へとスムーズに体重を移動させるようにして走りましょう。
バタバタと音を立てて走ると、小さくブレーキを繰り返しているような状態になり、膝や太ももへ負担もかかり、疲労感が大きくなります。
1500m走でおすすめのトレーニングメニュー
上記の方法を試すだけでも効果はありますが、より早いタイムを出すには地道なトレーニングが大切です。
スピードと持久力の両方が求められる1500m走では、下記の3つのトレーニングがおすすめです。
ペース走
ペース走とは
長めの距離(1500m走であれば6000mを走るなど)を一定のペースで走り続けるトレーニングです。
ペース走の主な効果
このトレーニングを積むことで、1500m走に必要な持久力を身につけることができます。
また、ペース感覚を鋭くする練習にもなるため、周りにペースを乱されずに走ることができます。
ランニングウォッチを使用すればペースを確認しながら走れるため、より早くペース感覚を養うことができます。
トレーニングの進め方
ペースは自身の目指している目標記録を基準にして設定しましょう。
ペース走は少し余裕を持った状態で走ることが重要なため、最初に設定したペースではきついと感じた場合は目標記録を下げましょう。
インターバル
インターバルとは
200mを速いスピードで走った後に100mをゆっくりとしたスピードで走るなど、比較的短い距離に対して緩急をつけて走ることを何本か繰り返すトレーニングです。
インターバルの主な効果
このトレーニングでは1500mに必要なスピードとそれを維持する力を高められます。
また、筋肉の収縮を阻害する乳酸を除去する能力や、エネルギーとして再利用する能力の向上も期待できます。
トレーニングの進め方
1500m走を想定した練習としては以下の3つがおすすめですが、まずは基本となる200mのインターバルから始めましょう。
2. 300m×7本 リカバリー:150m
3. 400m×5本 リカバリー:200m
※リカバリー:スピードを落として走る距離
緩急をしっかりとつけることがこの練習の肝です。
リカバリー以外は苦しくてもスピードを出すことを意識してください。
効果が高い方法ですが、それだけ体にかかる負荷のかかるトレーニングのため、練習に取り入れる際は週1程度にしましょう。
ビルドアップ走
ビルドアップ走とは
400mもしくは1000m毎にペースを段階的に引き上げていくトレーニングです。
ビルドアップ走の主な効果
このトレーニングではペース走と同様に持久力を向上できます。
終盤で失速してしまうランナーに特におすすめです。
短時間で大きな負荷を体に与えることができるため、練習時間の確保が難しい方におすすめですが、故障のリスクがあるので入念なケアが必要です。
トレーニングの進め方
設定する距離はペース走と同様に6000m程度にするのが妥当です。
ペースの上げ幅は1kmあたり10秒~20秒ほどを基準にして、以下のようにペースアップしていきます。
4分20秒(少し遅め) ⇒ 4分 ⇒ 3分40秒(少し早め)
といったようにペースを上げていきます。
もしペースをあげる際に辛さを感じたら、設定したペースが実力に合っていないということであるため、ペースの上げ幅を小さくしたり、基本ペースを落としたりして調整します。
無理してスピードを上げるのではなく、体が徐々に温まるにつれて自然とスピードが上がっていくという形を目指しましょう。
まとめ
1500m走を疲れずに走るためにはペースを保つことが最重要となります。
一度にすべてを取り入れることは難しいため、まずはペースを保つこと、ウォーミングアップを入念に行うことを実践していきましょう。
そのうえで少しずつ残りのポイントも実践していけば自然と疲れない走り方を身に着けることができます。
積極的にタイムを縮めていきたいという方も、紹介したトレーニングを取り入れ、自己ベストを目指して頑張ってみてください!